株式投資のリスクとは?
「株式投資にはリスクがある」ということは度々耳にしていると思いますが、具体的な株式投資のリスクにどのようなものがあるかは具体的に理解しているでしょうか?
リスクに備えるためにも、株式投資の3大リスクを抑えておきましょう。
価格変動リスク
価格変動リスクとは
銘柄の価格が変動して損失が生まれるリスク
「値下がりリスク」とも呼ばれる
株を買っている場合
価格が下がることで損失となる
株を空売り(信用売り)している場合
価格が上がることで損失が発生する
一般的に言われる株式投資のリスクとは、価格変動リスクのことであることが多くなっています。価格変動リスクは、株価チャート上での値幅(ボラティリティー)が大きいほど大きくなります。

上の図は半導体の製造に欠かせないシリコンウエハーの製造を手掛ける【3436】SUMCOの株価チャートになります。
2016年から2017年に掛けては5倍近い大きな値上がりとなった一方で、2018年には半値以下にまで大きく値下がりしているのが見て取れるかと思います。
倒産リスク
倒産リスクとは
上場銘柄が倒産するなどして上場廃止になるリスク
上場廃止となれば、株券には1円の価値もなくなってしまいます。東証一部上場銘柄が倒産して上場廃止になることはほとんどありませんが、可能性がゼロということでもありません。
2018年には、海底石油や天然ガスの掘削事業を行う日本海洋掘削が、6月22日に会社更生手続きの申請を行い、7月23日に東証1部から上場廃止となりました。
日本海洋掘削はメタンハイドレートやレアアース関連銘柄としても物色されることがあった銘柄でしたが、最後は大暴落して終わりました。

上の図は、洋菓子の販売などを手掛ける【2228】シベールの2019年2月7日時点のチャートです。同社は民事再生法を申請しており、2月18日に上場廃止となる予定となっています。
流動性リスク
流動性リスクとは
株式を売って現金に換金するリスク
「流動性」という言葉はよく耳にすると思いますが、株式市場では「売買代金」のことを指します。売買代金が小さくほとんど取引されない銘柄は、仮に株を買ったとしても、マーケットでその株を買ってくれる人がいないため、すぐに売って現金化することができません。
このため、流動性が小さい銘柄を取引するのは大きなリスクを伴います。
ただ、東証一部に上場している誰もが名前を知っているような銘柄は常に取引されているため、流動性リスクはほとんどありません。

上の図は、1日の売買代金が37万円しかなかった【4679】田谷の5分足チャートです。株価チャートにも関わらず、ローソク足が表示されていないのが分かるかと思います。これはほとんど取引されていないことを示します。
株式投資のリスクを減らす方法
株式投資のリスクを見てきましたが、「倒産リスク」と「流動性リスク」はちょっと気を付けるだけでほぼ完全に回避することが可能になります。
株式投資で問題となるのが、「価格変動リスク」とどのように付き合っていくかです。
分散投資して、早めの損切りを心掛ける
マーケットでは何が起こるか分からないため、「価格変動リスク」を完全にゼロにすることはできません。
ただ、リスクはゼロにすることはできませんが、分散して小さくすることができます。「価格変動リスク」を小さくする方法としては、分散投資をして、早めの損切りを心掛けることが有効です。
一つの銘柄に全資金を集中させてしまうと、その銘柄に思わぬニュースが飛び込んできて暴落したときに、大きな損失を被ることになってしまいます。
しかし、例えば5銘柄に分散投資しておけば、大きな値下がりショックに見舞われたとしても、集中投資した場合に比べて被害額は5分の1に軽減できます。
また、保有銘柄が下落した場合には更に大きく下がるリスクがあります。このリスクを小さくするには、なるべく損失が小さい内に早めの損切りを心掛ける他ありません。
東証一部の流動性のある銘柄を手掛けるようにする
東証一部に上場していて倒産する危険がない銘柄を手掛けるだけで、「倒産リスク」と「流動性リスク」はほぼ完全にゼロにすることができます。
ある程度の名が知れた大企業なら、いきなり倒産して株券が紙くずになるようなことは絶対に起こりません。
福島第一原発事故を起こしてしまった東京電力、粉飾決算を隠していた東芝、ホンハイに買収されるまで倒産寸前までいったシャープも、中期的には株価は暴落しましたが、逃げるチャンスは常にありました。

上の図は原発事故を起こした直後の【9501】東京電力の株価チャートです。原発事故直後は大暴落し、その後も100円台にまで下落しましたが、常に取引されており、いつでも逃げられたことが分かるかと思います。
一時は倒産危機寸前まで行ったこれらの銘柄にいつでも逃げるチャンスがあったのは、常に活発に取引されていた流動性がある銘柄だったからです。
具体的には、東証一部に上場していて1日の売買代金が10億円以上ある銘柄なら、「倒産リスク」と「流動性リスク」はほぼゼロであると言えます。
デイトレードなどの短期売買をしない
1日の中でエントリーと決済を行うデイトレードは簡単そうに思えますが、デイトレードを始めた投資家の90%以上が半年以内に退場するという統計があるなど、最も難しい取引手法であるというのが実態です。
また、近年はアルゴリズムを駆使するAIの登場により、超短期のデイトレードは益々難しくなっています。デイトレードのように「勝つのが難しい場所」でわざわざ勝ちに行くのは、それだけで大きなリスク要因となります。
株式投資を、人生を豊かにするための手段にしたいなら、デイトレードのような勝ちにくい短期売買には一切手を出さず、スイングトレードや成長株投資、高配当株投資といった勝ちやすい方法で利益を上げるのが重要です。
デイトレードで利益を上げられなくても、マーケットには収益機会がたくさん眠っています。わざわざ勝ちにくい場所でリスクを取っても何一つ良いことはありません。
経験を積み、学習する
株式投資は慣れや経験が非常に重要です。株式投資の経験を積むこと自体が、株式投資のリスクを減らすことに繋がります。
例えば、多くの投資家は初めての暴落には戸惑い、時にパニックとなり、下手な行動を起こして火傷を負うことが少なくありません。しかし、このような経験を積むことによって、次なる暴落のときには冷静に対処できるようになってきます。
株式投資で有益な経験を積み重ねていくには、自身の取引記録を見て反省し、様々な知識や教訓を得る学習プロセスを習慣化することが重要です。
株式投資のリスクを完全にゼロにすることはできませんが、経験を積み、学習することによって、そのリスクは限りなく小さいものになっていきます。
投資収入に頼る生活をしない
サラリーマン投資家として成功した多くの人は、給与収入の多くを投資に充てるライフスタイルを実践したことが成功の大きな要因となっています。
投資収入だけで生活する専業トレーダーに憧れる人は少なくありませんが、不安定な投資収入に頼る生活は精神的に辛いものがあり、株式投資にも良い影響は及ぼしません。
株式投資で230億円の資産を築いた伝説のトレーダーであるcisさんですら、サラリーマンから専業トレーダーになったのは資産額が6000万円になってからなのです。
投資収入だけで生活費をまかなう生活は、それ自体が精神的な苦痛となり、株式投資のリスクになります。また、生活資金や子供の教育資金といった必要な資金まで株式投資に充てる行為もおすすめできません。株式投資は余裕資金で行うことが重要です。
株式投資のリターンは?
ここまでは株式投資のリスクについて見てきましたが、株式投資でリスクを負った対価として得られるリターンにはどのようなものがあるでしょうか?
お金と自由という観点から、株式投資で得られるリターンを見ていきましょう。
値上がり益・配当金・株主優待
株式投資で得られる利益には、値上がり益(キャピタルゲイン)と配当金(インカムゲイン)の2種類があります。また、現金ではなくモノとして株主還元される株主優待商品を得られることもあります。
いずれにしても、株式投資で得られる最大のリターンは金銭的な収入となります。
株式投資で得た利益に発生する税金
どれだけ利益を上げても約20%(所得税15%、住民税5%、特別復興所得税0.315%)
労働や事業での収入
55%(所得税45%、住民税10%)の最高税率が課される
株式投資ではどれだけ稼いでも約20%の一律課税です。この点からも、株式投資は資産を作るのに向いています。
課税されにくく資産を作りやすい収入を得られるようになることこそが、株式投資の最大のリターンであると言えるでしょう。
第二の収入チャネルが生まれることによる自由
株式投資のスキルを身に付けると、給与収入に加えて投資収入という2つ目のサイフができることになります。多くの人は、毎月得られる給与収入の中から生活費をまかない、残った分を貯金や投資などの資産形成に回すのが一般的です。
株式投資による運用スキルを身に付け、投資収入が一定以上になってくると、給与収入は全て生活費に回し、資産運用は株式投資の運用だけで行う生活が可能になってきます。
また、投資収入という2つ目のサイフができることは精神的なゆとりに繋がり、本業にも大きなプラスの影響を及ぼします。
株式投資のスキルを身に付けることで得られる最大のリターンは、経済的な自由よりも、精神的な自由にあるのかもしれません。